PS2移植『いつか、届く、あの空に。 〜陽の道と緋の昏と〜』

  • 2007/06/25(月) 15:19:27

 Lump of Sugerの現在での最新作「いつか、届く、あの空に」がプレイステーション2に移植されることが決定されました。
 追加要素も多々あるようですが、少々不満というか、心配なことがあるので一筆書いてみることにしました。

 追加要素は以下のようになります。


『Lump of Suger』の最新作『いつか、届く、あの空に。』が満を持してプレイステーション2に登場!
もちろん、追加CGは、萌木原ふみたけ先生の書き下ろし!
更に、その他にも追加要素でPC版よりボリュームUPしています!
ここで、追加要素を簡単に教えちゃいます!

☆数十枚のイベントCGの追加!
☆愛々々ルートの追加!
☆新規エピソード・PC版のその後を描いた後日談新規アナザーストーリーの追加!(ラブストーリー追加など)
☆新主題歌&新オープニングムービーの追加!三曲とも新曲になります!
☆戦闘シーンの演出強化や新システム(辞書機能など)の追加などなど!


いつ空PS2追加要素特報!(Lump ou Sugerオフィシャルサイト)

ここで気になったのが、シナリオの追加についてです。

 まず、元々のPC版については『朱門優』さんというシナリオライターさんが脚本を手がけていました。しかし、この方は『いつか、届く、あの空に。』の発売とともにLump of Sugerを離れていらっしゃいます。
 では、今回のコンシューマー版については誰がシナリオをやっていたのかというと、実はそれが具体的には判らないのです。

 一応、外部注文にて朱門さんにシナリオを頼んでいるという可能性もありますが、朱門さんのブログ『魔女たちの囁き』の6月24日分にて「コンシューマーへの移植について、僕は一切関わっておりません。」と書かれているので、その可能性はゼロです。


 さて、時々『紙芝居』などと揶揄される美少女ゲームにおいて、原画が人間の外面だとしたら、シナリオは内面です。
 内面が入れ替わった時に、それが同一のものであると言い切れるでしょうか。
もちろん、ディレクションが完璧であれば、シナリオライターが入れ替わったとしても、中身の統一が成されるという例は沢山あります。
 ただ、Lump of sugerのサイトで『追加シナリオ部分 ラッセル・キュア』とコンシューマー版の製作ブランド名のみになっているので、おそらくここに丸投げしているのでしょう。


 まぁ、期待できないゲームであれば、買わないのが一番だろうというのが、もっともな事であるといえるでしょうが、最近の美少女ゲーム業界では、このような中途半端な焼き増しが多すぎるのが気になります。
 例えば、ブランド二作目から、新作ではなく一作目のファンディスクだったり、移植→逆移植の繰り返しによって、わずかな追加要素をフルプライスで何度も顧客に買わせたりです。
 
 もちろん、商業である以上生き残りを計らなければならないというのはもっともですが、企業存続の目的が顧客のためでなく、自社の存続と利益の追求であるならば、顧客としてはその企業は存在するだけ迷惑です。

 別に私は業界人ではなく一ユーザーでしかないため、どこのブランドがそうであると言い切ることは出来ません。
 今回の『いつか、届く、あの空に。』の移植に関しても、PC版が完璧な作品であったとは言えないので、さらに素晴らしい作品にしあげてくるという可能性というのは十二分にあります。

 
 ただ、一オタクとしてこの業界は、中途半端な企業戦略によって生き延びていくものでなく、ユーザー達が楽しみ、そして楽しんだ結果としてファンが増えていくことで盛り上がっていくものであることだけを切に望みます。

『いつか、届く、あの空に。』 考察4

  • 2007/02/07(水) 03:51:27

Lump of suger製作、『いつか、届く、あの空に。』の考察及びまとめのラスト、明日宿傘のシナリオについてです。

今回も今まで同様、完全にネタバレしているので、未プレイの方は以下の内容を読み進めないように強くお奨めいたします。


1,ゲーム本編の年表はこちら
2,ふたみシナリオに関する考察、まとめはこちら
3,此芽シナリオに関する考察、まとめはこちら




Q,明日宿家ってなに?

オーディンの元従者であり、神に対して人類の尊厳を唱えたスットゥング(病める舌)を始祖とする一族です。
この一族の目的は、人外が人を救うことを阻止することにあります。
あくまで人は、人自身の手で自分たちを救うことが出来なければ、それこそ人外にとっての飼い犬に過ぎず、独立した種としての尊厳など存在しないというのが基本的な考えのようです。


Q,なんで、雲戌亥家が人外として認定されているの?炎が使えるといっても、見た目も考え方も人間じゃない?

傘の語る上では、普通の人間では使えない能力を身につけ、しかも自ら望んでその能力を行使しているから『人外』であるという認識になっています。

別の視点でみると、雲戌亥の力というのは、アース神族とヴァン神族の唾から生まれたクヴァシル(主張する者)の血を受けてのもの、つまり神から由来した力を使っているということで人外である、という風に物語上では読み取ることも出来ます。


Q,では、明日宿の一族は人外じゃないの?

これは2通りの考え方が出来ます。

まず、明日宿の始祖たるスットゥング(病める舌)自身は、オーディンの従者として彼のそばに仕え、その間にルーンを見よう見まねで身につけた、ただの人間です。
この観点で考えると、その子孫である明日宿家も、魔術師であれど人間の一族であるという風に考えることが出来ます。

もう一つは逆に、ルーンという神から由来した魔術を使っている以上、雲戌亥と同様人外であるという見方ができます。
つまり、自分たちも人外であるために、自分たち自身では世界を救おうとせず、あくまで世界を救おうとする人外を狩ることしかしないという風に見て取れます。

後者は策の予想ですが、この考え方が正しいとすると、最後に人類を救う行いをした傘も、『病める舌の願い』を犯してしまったことになってしまいす。

私は前者が正しいと見て取っているのですが。



Q,傘シナリオで、策が元気なままなのは何故?


不明です。

傘シナリオで、他シナリオと同様策は倒れそして一度元気になったというのは他シナリオと同様ですが、本来これは蝋燭が燃え尽きる前に明るくなると同様で、そのまま策は死ななければならないはずです。
命の供給源である此芽が死んでいるのは、おまけで明言されていますし。

此芽シナリオと違って、此芽の父親が解呪してくれるわけはないので、考えられるのは傘がなんとかしたということです。
おそらく、自宅に縛られる前に傘がルーンを使ってなんとかしたのだと思います。


Q,傘はどうやって、捕縛の術を無効化したり、菊乃丸の炎を無効化したりしたの?

おそらく、このシーンでは傘がルーンを使って防いだと考えるのが妥当だと思います。

オーディンが遥か昔、明日宿の始祖であるスットゥングに対して、オーディンを超える魔術師に「貴様の血を継ぐ誰かが、そうなるやも知れぬ」と言っているので、傘が仕えるルーン文字の数は、オーディンが最初に身につけたルーンは全て使えると考えられます。

その神にも匹敵するルーン魔術を使って、捕縛解除や炎の防御を行ったのでしょう。
おそらく、大砲の弾を受けて無事だったのも、ルーンの魔術によるものだと思います。


Q,作中に出てきた戦車にデジタル標準機が付いているのは何故?

雲戌亥の人間による改造の結果です。


Q,傘シナリオエピローグで傘が殺した赤い雄鳥フィアラルって?

ラグナロクの開戦の合図を運命づけられている雄鳥です。
策が原因となって、平行世界でスコール、ハティ、フィアラルが死んだことより、ラグナロクは起こらなくなりました。



Q、策の言う、”てる”に紹介したい人とは誰のこと?

これは、ほぼ確実にふたみのことです。

作中から、紹介したい人について述べている下りを引用しますと、

『それから彼はこう言った。

私はどうしてここにいるのか、そう俺に訪ねた少女だって。
わからないよ、って、その時は答えたんだって。
ごめん、って、言ったって。
どうしてあやまるのか、と訊かなかった――少女だって。
それから。
よくがんばったな、と――俺にそういってくれた、少女、だって。』

となっています。

口調だけ読んでもふたみであること、特に「私」という一人称の少女はふたみしかいないわけですからふたみであると推察できますが、特に決め手となっているのが、最後の「よくがんばったな」の部分です。

傘ルートの初めの方、作中6月23日の「選んだのは……」の中で、ふたみが実家に戻るとき、策に対して「がんばれ」と告げています。
このことから考えると、最後に「よくがんばったな」と言う役として一番妥当のはふたみを置いて他なりません。


確かに、作中で傘はふたみを殺したことを明言していますが、実際には、殺したシーンまでは描写されていません。

このことから考えると、結局のところ、傘がふたみを殺したつもりで、殺しきることが出来なかったというのが正しいところだと思います。
傘は明日宿の当主としては最強ですが、ふたみと策がくっつくようにし向けたり、策をちゃんと拘束しておかなかったり、戦車の中にいる策を殺さずに菊乃丸のみを殺すなど、”明日宿傘”という少女の根幹にはどこか甘いところがありますし。

ふたみを殺そうとした土壇場において、そこに策のやりとりも相まって、その明日宿傘自身の甘さが出てしまったのだと思います。

本懐である蛙蟆龍が生き残り、その他雲戌亥の郎党皆殺しにされたという結末は、どこか釈然としないところも残りますが。



『いつか、届く、あの空に。』 考察3

  • 2007/02/06(火) 04:55:32

次は桜守姫此芽シナリオでのまとめ及び考察です。

やはり、完全にネタバレをしているので、未プレイの方、考察は自分で行うという方は、以下を読まずいられることを強くお奨めします。


1,ゲーム本編の年表はこちら
2,ふたみシナリオに関する考察、まとめはこちら
3,傘シナリオに関する考察、まとめはこちら





Q,桜守姫家って何?


桜守姫家には『御前』と呼ばれる、オーディンの従者の一人であった妖精が生み出した一族です。

御前は、オーディンが空明祠に残していったグングニルを用いて、この地に染みこんだクヴァシル(主張する者)の血を回収しようと、現地の人間を悪戯に殺戮していましたが、ある日、クヴァシルの血の力を受けて炎を操る力を身につけた雲戌亥静とその娘に撃退され、グングニルも砕かれてしまいます。
ところが、砕けたグングニルの欠片が死体に吸い込まれ、その死体は魔術の力を持って動き出すことになりました。

この死体の末裔が桜守姫であり、グングニルの欠片の力と、器となりうる人間の特性を併せて、御前は桜守姫に主張する者の血を吸収させ、その上で桜守姫からグングニルの欠片を回収することで、主張する者の血を吸い込んだグングニルを作り上げようとしています。



Q,空明市を覆う有識結界って?

雲戌亥の当主が、空明市を覆う結界に『盒子』という言霊を掛けて作り上げた結界です。
その目的は、桜守姫のような邪魔者を空明市に入れず、また住民を外に出さないようにすることにあります。

その内容は以下の通り

『贋』……作中において、この贋という結界の作用は、全部で三領域あると言われています。
まず、第一領域は、雲戌亥家にとって都合の悪い事柄について、考えを巡らせることを不可能とする仕掛けです。例としては、毎晩街が雲に覆われること、人の出入りがないことをおかしいと思えない等ということ挙げられます。
次に、第二領域は『東京都空明市』に対する、出入りの意志の打ち消しです。外から見ても空明市は見えず入ろうとも思えず、内側からも外側の正しい光景を見ることも出ようとも思えません。
第三領域を明言している場所が、ちょっと見つからなかったのですが、おそらく、結界を仕掛けた者が雲戌亥家であることを認識した時点で、記憶の修正がなされるといったものであると考えられます。

『獄』……贋による操作にもかかわらず、街から出ようとすると働く仕掛けです。この仕掛けに引っ掛かった者は、いかなる者であろうともその身を焼き尽くされます。


ちなみに、『贋』は桜守姫の人間には働かなく、雲戌亥の人間は有識結界の『贋』と『獄』の両者の作用は働きません。
桜守姫と雲戌亥の両者の血の入った巽の者であるからこそ、策は有識結界の突破が叶ったのではないかと作中で言われています。



Q,桜守姫家の者達が使う魔術って何?

体に埋め込まれたグングニル(御前などは『骸を貪り喰らうもの』と呼んでいます)
その欠片を持つ者は、影に決まった御名を宿します。ちなみに、作中に出てくる単語は、皆、古エッダ(北欧神話の原典集)に記されたワルキューレの名前となっています。
各登場人物においての文字列は以下の通り。

桜守姫みどの……『スケッギョルド(斧の時代)』
此芽の叔父……『ランドグリーズ(盾を壊す者)』
此芽の父……『ヘルヴォル(軍勢の守り手)』
その他……『ゲイルスケグル(槍の戦)』『ヘルフィヨトル(軍勢の戒め)』

参考:ウィキペディア『ワルキューレ』項

ちなみに、此芽は魔術を使うときに『ツァウヴェル ヴァルキューレ』と唱えますが、この『ツァウヴェル』は『魔法の、魔の』といった意味の単語です。



Q,此芽と策の、あの過去の事件は、結局どういう事件だったの?

そもそも、策と此芽が昔遊んでいたとき、雲戌亥家のふたみの両親と、桜守姫家の此芽の両親は相打ちになっていたのですが、ふたみの母親は自らの炎の能力『残火』を使って、桜守姫のとある術者の中に残留思念として紛れ込みました。

この術者は、『死』という結果を現在にもたらす道具を作り出す、という能力を持っていて、その力を持って、ふたみの母親は此芽の殺害を企てます。

ところが、策はその道具が凶器であることを解対を用いて視てしまし、ふたみの母親によって、此芽の前に刺されてしまいます。

ここで問題だったのが、策にもたらされた『死』が、雲戌亥の当主によって掛けられた餌の呪いであったこと。蛙蟆龍関連の言霊による呪いは、静御前をして「神にも解けぬ」と言わしめるもので、結局此芽にも解除は叶いませんでした。

そのため、此芽が行ったのが、結婚式という名の命を繋げる魔術です。



Q,では、物語の最後で策の呪いが解けたのは何故?

物語中、御前が、此芽の父である絡繰り人形に策の殺害を命じ、その場を後にしたシーンがあります。
しかし、この後、策は何故かピンピンした状態で此芽の元にやってきます。
この時、此芽は死に目にありながら、策の呪いが消えていることを見て取りますが、どうして、策の呪いは消えていたのでしょうか?

これは、おそらく此芽の父親が解呪したのだと思います。
此芽の父親の回想にて
「あの山頂より連なる一族の血に僅かでも関わった者ならば、私の前において無力化する」
とあります。
この力をもって、静御前の掛けた呪いを無効化したのではないでしょうか。




Q、此芽の父親の言った「”姉妹”という意味では3人か……」の3人目というのは誰のこと?


これは、透舞のんであることが考えられます。

のんは此芽を姉として、みどのを妹として姉妹の輪の中に入っていました。
此芽の護衛をしていた父は、前後不覚な状態でありながらも、そこまでをちゃんと見ていて、その上でのんを”姉妹”の内の一人として数えたのでしょう。



Q、逆式魔槍ってなによ?

不明です。行動としては自分自身にグングニルを突き刺すこと、結果としては此芽に、策の側から命の供給を行うことですが、どのような術式なのか、どの程度の効果があったのかが判りません。

行為自体は、オーディンがルーンを手に入れるときに、自らを突き刺し死の国に行ってきたという行為と同様ですが、どうなんでしょうか?

考えられることは

1、オーディンと同様、策は一度死の国まで行ってきた。そのため一時的にルーンが使用可能になり、此芽の分までを含めた命の回復と、命の供給の式を逆向きにして、策の側から供給を行った。
2、桜守姫の魔術の根源であるグングニルをその身に入れることにより、桜守姫の術者と同様の魔術が使えるようになった。それによって、回復と逆式を行った。
3、もの凄い槍で、なんだから知らないけどハイパーなことが起こった。(考えるな、感じろ)

位ですが、とりあえず材料に欠けるので、確かなことは言えません。


Q,此芽と策の放ったグングニルにより、御前とともに貫かれた”既に決定されていた未来として切り裂く予定を担っていたその獣”ってなんのこと?


フェンリルの子供であるハティのことです。スコールが太陽を飲み干し、ハティが月を切り裂くことで全ての命が消えることが決付けられていました。
ところが、此芽と策によって本当の力を解放したグングニルによって、あり得ない形で滅ぼされてしまったわけですね。


Q,此芽の使った『結婚式の魔術』とは?

この魔術の要項は以下の通りです。

まず、策が目覚めた時、此芽を『お姫様』として認識しました。よって、この結婚式の魔術において、妻である此芽は策にとって『お姫様』で有り続けなければなりません。
逆に、旦那である策の方からは結婚の誓いとして、妻である此芽に、婚約指輪の代わりに、自らの強い思いの込められた記憶を、此芽に差し出すことになります。


ちなみに、此芽が前半で策に必死に嫌われようとしたのは、ふたりが一緒にいる機会が多ければ多いほど、昔のことを思い出される危険が増えるからです。
此芽の側から離れることが出来なかったのは、作中でも語られているとおり、策のことが好きでどうしようも無かったため、自分の方からは離れることが叶わなかったからです。

また、策という人物が巽として努力してきたこと、『お姫様』を探し続けてきたことは、この時の出来事が全ての根幹になっています。




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