続・スパコン事業仕分けの話

  • 2009/11/28(土) 10:04:57

先週に引き続き、スーパーコンピューターの事業仕分けの話が活発です。
ことが将来にかかわる話なので学者さんたちも必死ですし、国民の注目度が高いので、政治家さんたちのアピールにも事欠きません。

まず、ノーベル章受賞による仕分けに対する反論です。


江崎氏は日本人にノーベル賞受賞者が少ないことを引き合いに、「日本の科学技術は一流ではない。ここでお金を出さないとますます悪くなることは明らか」と皮肉交じりに話した。

 理化学研究所が開発を進める次世代スーパーコンピュータについて、事業仕分けの際に「本当に世界一になる必要があるのか、2位ではだめなのか」という意見が出たことに対し、利根川氏は皮肉を交えて反論。「世界一を目指してもなれないもの。世界一を目指す意気込みでやらないと、2位にも3位にもなれないことを理解すべきだ」

 理研理事長も務める野依氏は「科学技術や教育は短期的な費用対効果で評価されるべきではない。もう少し見識ある議論があって然るべき。スパコンや加速器はインフラ。国として整備が必要だ」と訴えた。

(一部抜粋)

ノーベル賞受賞者らが仕分け批判で集結 「世界一目指さないと2位にもなれない」(ITmedia:11月25日)


この辺りの反感を受けてか、上記発言の前になりますが、行政側もスパコン事業の復活を検討しています。

 菅副総理・国家戦略相は22日、政府の行政刷新会議(議長・鳩山首相)の「事業仕分け」で「事実上の凍結」とされた次世代スーパーコンピューター(スパコン)開発予算について、判定を見直す考えを表明した。

 研究者などから批判が相次いでいたことを受け、判断した。政府は今後、スパコン事業の継続に支障がないよう、スパコン開発予算(2010年度予算概算要求で約268億円)を確保する方向で調整を進める見通しだ。


スパコン「凍結」せず…菅戦略相、仕分け見直し(YOMIURI ONLINE:11月22日)

 仙谷由人行政刷新担当相は23日、政府の行政刷新会議による「事業仕分け」で「予算縮減」と判定された次世代スーパーコンピューター(スパコン)の開発予算について「そうなるかどうかはこれからの検討次第だ」と述べ、政治的判断による復活があり得るとの見方を示した。

事業仕分け:スパコン、仙谷氏も復活示唆(毎日jp:11月24日)


ただ、結局、議論はあまり深まっていないような気がするんですよね。

事業仕分けにおける提出資料が、
行政刷新会議事業仕分け対象事業についてご意見をお寄せください(文部科学省)
においてありますが、ここには、スパコンによる経済効果を、

・マクロ経済モデルによる経済効果 約3.4兆円
・具体的効果事例 約8,400億円
・基本特許獲得による効果 約4,300億円


と挙げています。
これが事実ならば、予算額は確実にペイできるはずですし、削る理由がありません。逆に、文科省による資料に信頼性の疑われる場所があるならば、そこを述べるべきです。

麻生政権下の定額給付金の議論も、「小渕政権下の地域振興券があまり効果なかったんだからやめたほうがいいんじゃね」という議論から段々と意見が拡散して訳のわからない話になっていきましたが、今回の仕分けの話もそうならないか心配です。

スパコン事業仕分けは賢明か、それとも愚策か?

  • 2009/11/21(土) 09:40:10

近年議論を呼んでいる、民主党政府による行政刷新会議の事業仕分け。
この仕分けによって、国家事業の予算配分にメスが入り、縮小、凍結されたものに対して多くの議論を呼んでいます。

その中で、特に目を引いたのが次世代スーパーコンピューター開発の予算凍結です。
私がIT系の人間だからというのもあるでしょうが、ロケット開発とあわせて、世間一般でもかなりの注目を集めた仕分け項目といえるのではないでしょうか。

特にこの項目は仕分け対象として賛否両論が激しく、日本の未来にかかわるものとして非常に重要視されています。
この賛否をあげると、以下のような形になるでしょうか。

凍結賛成派の意見
・そもそも世界一位を目指す必要があるのか?
・投資に対してのリターンが疑問(ソフト開発に資金を回した方が投資効率がよいのではないか)

凍結反対派の意見
・開発から一度撤退すると、再参加するのに事業継続とは比較にならない労力が必要となる
・スパコンは他産業への波及効果が大きい
・自国で開発しないと、トップクラスの性能のものは手に入らない

私も基本的には反対派と同意で、将来に対する投資を怠って目先の利益を追い求める政策というのは賛成しかねます。
特に、民主党は子どもを育てやすい環境の構築を目指しているわけですから、その働き口まで考えることも必要でしょう。

ただ、反対派も強い言い方をするわりにはずいぶんアクションが弱いのも気になります。
事業仕分けでは1時間しか説明時間がなかったことが言われていますが、そこから後、国民に対してアピールする機会というのは十分にあったはずです。

特に、少なくとも、波及効果があるならばどの程度あるのか、それはすぐに影響が出るのか、それとも将来的な話なのか、今までのスパコンはどの程度日本に利益をもたらしたのか、専門家でなくてもわかりやすい説明をしてくれてもいいのではないかと思います。

それとは別に、気になることがひとつ。
果たして、補助金が復活して、それで日本の競争力を本当に取り戻すことができるのかという点です。
ベクトル型を開発していたNECが撤退し、日本の開発力は衰退の一途です。補助金をより増やしでもしない限り、経済も縮小し軍事利用のニーズのない日本では将来的に海外に負けるのは避けられないのではないでしょうか。

未来に繋がるのならば賛成ですが、老衰死一歩手前の産業の延命措置ならば、早めに見取るのも手だと思います。

こうやって考えると、本当にスパコン開発は凍結していいのか、それとも凍結はしてはならぬのか、どこかしらのわかりやすい説明が欲しいところです。

「奇策」にて禁止された薬物販売を続けるケンコーコムに未来はあるのか?

  • 2009/11/14(土) 08:17:40

改正薬事法により、インターネットでの第一種医薬品の販売は事実上不可能に、そして第二種医薬品もほとんど購入不可能という状態になっています。
これに困るのが、すでにネットで医薬品の販売を行っていた業者たち。状況を打開しようと、違憲・違法省令無効確認・取消の裁判を実行中です。

ただ、裁判の結果はすぐに出るわけがなく、それまでどうあっても国内でのネット販売は不可能であるのは変わりません。
そこで、この裁判を起こした会社のうちの一社、ケンコーコムは現在、新たな手段を立ち上げました。
それは、日本国内の通販が禁止されている第一種、第二種医薬品などを、個人輸入の代行という形でシンガポールの子会社から販売するという仕組みです。

・ケンコーコム SINGAPORE
http://sg.kenko.com/

このケンコーコムシンガポールですが、海外から輸入してるにしては送料がかなり安めです。
基本送料は650円、8000円以上購入すれば送料無料というのですから、顧客によっては許容できる額と言えましょう。

たとえば、Amazonを使って海外へ配送するとなると、安くても1千円台後半となります。
そのほかの海外医薬品の個人輸入サイトを見ても、現地の価格より2000円分ほど上乗せされています。
この配送量については、日系ビジネス 11月9日号124Pの[薬事法規制を嗤う"脱法"の真意]によると、「消費税が非課税のため、その分でも物流コストを吸収できる」とケンコーコムは回答しています。

ただ、この個人輸入には大きな問題が一点あります。
それは、使用した薬によってなんらかの害をこうむった場合、国による保障を受けられないということです。


日本国内で薬事法を遵守して販売等されている医薬品については、それを適正に使用したにもかかわらず重大な健康被害が生じた場合に、その救済を図る公的制度(医薬品副作用被害救済制度)があります。しかし、個人輸入された医薬品による健康被害については救済対象となりません。

(一部抜粋)


医薬品等を海外から購入しようとされる方へ:厚生労働省

ケンコーコムでウリにされている薬は第一種、第二種と比較的副作用が強いとされている薬ですから、健康被害にあう可能性も高まります。
おそらく、ケンコーコムにて薬物を入手しようとする人ならば、この位は調べるでしょうし、その結果購入に二の足を踏む人も少なくないでしょう。

ケンコーコムとしては、このシンガポール子会社からアジア各国への医薬品通販をするつもりだとのことですが、現行法への裁判に勝利するか、国外のビジネス軌道に乗らない限り、おそらくネット通販は成り立たないと思われます。

もし、日本国内への医薬品の規模が拡大したとしても、また法律改正によってケンコーコムの事業がつぶされる可能性はあります。
しかし、現在日本国内で日本の医薬品の通販事業は一社独占状態にあります。
もしかすると、近い将来「医薬品通販にケンコーコムあり」と呼ばれる日がくるかもしれません。

裁判の行く先も含めて非常に興味深いといえるのではないでしょうか。

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