『リトルバスターズ!』 レビュー(ネタバレ無し)

  • 2007/08/02(木) 15:18:32

 Key最新作『リトルバスターズ!』のレビューです。
 レビューの方針としては基本的にネタバレ無しの方向で書いていきます。

 同ブランド前作『智代アフター』から大体1年半、『CLANNAD』からだと約3年になりますね。
 他ブランドと比較するとかなり遅いペースですが、それでも今までのKeyのペースを考えると早めだと思うのは私だけではないと思います。


・シナリオ
 シナリオライターは『麻枝准』さん、『都乃河勇人』さん、『城桐央』さん、『樫田レオ』さんの4名です。

 まず麻枝准さんはKey創立以前から中核となるシナリオライターさんで、泣かせるシナリオを書かせたら日本一と言っても過言でないくらいの実力のあるライターさんです。
 その反面、どうもいわゆる『バッドエンド症候群』にかかってるらしく、他の人間に止められないと登場人物が容赦なく不幸の坂道を転がっていくという作品傾向が見受けられます。
 今作リトルバスターズ!での担当シナリオは幼なじみ面子全員分になります。
 シナリオライター業は今作で廃業という話ですが……

 都乃河勇人さんと樫田レオさんは大体智代アフターくらいの時期から表で活躍しだしたライターさんです。
 本作リトルバスターズ!では、都乃河さんが小毬と唯湖のシナリオを、樫田レオさんは美魚を担当なさっています。
 
 城桐央さんに関してはまったく判りません。
 担当シナリオはクドシナリオらしいです。


 さて、本作の話の展開は、鈴以外の5人をクリア→鈴クリア→リトルバスターズトゥルーとなっています。
 

 正直な話、いかにも「泣ける!」という所まで盛り上がるのは、最後の麻枝さん担当部分のみ位でして、他ヒロインのシナリオは綺麗にまとまっている感じはするものの、それほど強烈な印象を受けるほどではありませんでした。

 これは、ネタバレになるために深くは言及できませんが、このリトルバスターズ!の世界観に依るところが大きくなっています。
 このリトルバスターズ!の話の主幹は幼なじみと達との関わりに置かれているため、ある意味に他のヒロイン達は「おまけ」に過ぎないところがあります。
 例えるならば、食玩のラムネが5人のヒロイン。玩具が幼なじみリトルバスターズの面々といったところでしょうか。

 それでも、キャラクター達の関わりあい非常に楽しく、個性的な面々ばかりですから、共通ルートはとても良い雰囲気で進んでいきます。
 また、フラグごとの微妙な展開の違いはクラナドにあったのと同じで、周回毎にミニイベントが起きたりと飽きさせない構成となっています。

 

・グラフィック
 原画担当は『樋上いたる』さんと、『Na-Ga』さんです。
 担当キャラクターは樋上いたるさんが小毬、唯湖、葉留佳を、Na-Gaさんは鈴、クド、美魚、男性キャラとなっています。

 樋上いたるさんは、Key中核メンバーの一人ですが、前回のクラナドとは画調が変わっています。これはAirからCLANNADの時もそうでしたが。
 今作も今までと同様、いたるさんの絵は手放しで上手いとほめられる訳ではありません。しかし、可愛らしく描かれたキャラクターは非常に魅力的です。
 大体、いたるさんの絵がKeyの顔と言って良いくらいですから、多分いたるさんが描くのをやめただけでKeyから離れていくファンも多いでしょう。

 次にNa-Gaさんですが、この方の絵は実に上手いと感じました。最初はKey作品の複数原画家ということで違和感を覚えましたが、今ではそんなことは全くありません。
 画調も安定していて、勢いのある一枚絵も描けています。キャラクターの担当から言って、名実ともに今作のメイン原画家と言って遜色ないと思います。



・その他
 まず、Keyの顔の一つと言っていい音楽ですが、今作においては印象に残る曲があまり思い返せません。メインの曲である「リトルバスターズ!」を除くと、「シンクロニクル」くらいですかね。

 これについて考えられる理由は2つ。

 まず1つは、音楽メンバーが増えた事による曲調の変化です。今回一番担当曲目の多いのがPMMKさんという方です。それで微妙な曲調に関する違和感を覚えているのでしょう。

 もう一つは曲目数の増加です。ハード面の進化によって容量に余裕が生まれ、インストールできる曲目数も増えてきました。これよってプレイ時間中での一つの曲目を聞ける時間割合が減り、それによって記憶に残らなくなってきたというのがあるのかもしれません。


 次に、リトルバスターズ!中のミニゲームですが、非常に出来の良いものとなっています。
 メインとなる野球とバトルだけでなく、ちょっとしたミニゲームもそれなりにあります。
 特に野球に関しては、戻ってきた球を打ち返すことで生じるコンボがあるため、やり込もうと思ったらいくらでもやりこめます。
 また、バトルについても周回を重ねる毎に新しい展開が生まれるため、飽きさせられるということはありませんでした。

 しかし、だからこそやり込もうとするとシナリオをゲームを進めるのが滞ってしまうという問題が生じます。
 一応ミニゲームはオフに出来るのですが、私の場合やらないともったいないというジレンマが生じてしまいました。
 まぁ、これは容赦なく切れる人には切れるでしょうけど。



・総論
 半端な努力では涙をこらえきれないであろうシナリオ、クラナド同様徹底したフラグ管理によるちょっとした小ネタ、丁寧に作られたミニゲームなど、ゲームとしての水準は非常に高い出来でした。
 しかし、一騎当千のゴールデンスタッフによる密度の高い出来だった今までと比べると、スタッフの増えた現在では微妙に印象が薄まったような気もします。

 また、「恋愛」よりは「友情」をテーマとした本作は美少女ゲームと呼んで良いのかという疑問の余地もあります。人気投票をまともにやったら、おそらく恭介がトップに上りそうですし。

 本当に良い出来なのですが、その点において誰に勧めて良いのかというのを非常に迷うという一作でした。


・推奨、非推奨
こんな方にお奨め
・女の子しか出てこない美少女ゲームに違和感を覚え、友情シナリオを楽しんでみたいという方
・とりあえず良作をやってみようという方
・従来のKeyファンの方

こんな方にはお奨めできません
・がっつり恋愛話を楽しみたい方
・鬱々とした展開が嫌いな方
・Keyの作風は性に合わないという方



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